――住人たちは、この世界を【サイラス】と呼んだ――。

多種多様な動植物が生息し、歴史を刻むサイラス。
時代によって様々な顔を見せるこの世界の、「サイラス・クロス」の舞台を紹介しよう。




ごきげんよう、渡航者さん。私は鏡夜(キョウヤ)。解説役を請け負った。
『時渡り』だ。―世界を行き来する者とでも。

ここに書くのは物語を見る上で読まなくても構わない設定だが
知っておくとが何か気づくことはあるかもしれないな。
なに、補足程度に思うといい。




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サイラスは地球と同じく海と陸で構成された世界だ。

ディアパネラ ファーモネル アトラデスタ
ムーズ アムリツァ レイランド


という6つの大陸がある。

サイラス・クロスの舞台はディアパネラ大陸。
東西に長く伸びた土地は、大気や地質などが異なることから
大陸の東側はディアント圏、西側はパルネアラ圏と呼ばれている。

サイラス・クロスのヒナたちが住んでいるのは、 このディアント圏にあるクロイツという連邦国だ。
クロイスはディアントの東半分の土地を占めている。

山脈ボーディアが土地を南北に割るかのように横断してるのだが、
そのほぼ中央から南北それぞれに向かって大量の水が地を縦断。
この土地を東西に分かつ大河はストライドと呼ばれている。

この、ボーディア山脈とストライド河のつくる交差は
クロイツベルトと呼ばれていて、別れた4つの地はそれぞれ小国になっている。
それが、クロイツ連邦だ。


簡単に図にまとめるとこんな感じだな。 @〜Cが国の名前だ。



それぞれの国の簡単な説明をしよう。


ロウタリア
クロイツベルト南側西。交易、流通が盛ん。一番都会的。
土地柄か、王の代表が選ばれることが多く、また連邦政府の所在もロウタリアである。

タスワ
クロイツベルト南側東。自然が多く、気候落ちつき土壌も良く、農耕などが盛ん。
住民は温厚で争い知らずな者が多い。

プラスマ
クロイツベルト北側西。鉱物の採掘や加工技術が発展。
少し乾燥した土地。遺跡も発見されている。

ケルカ
クロイツベルト北側東。精霊の伝説が有名で、不思議な体験や
山脈や河を神格化した祭りを楽しむため、遠い外国から人が訪ねることも。



4つの国にはそれぞれ領王がいるが、古くからの伝統により
時期が来ると代表たちが話し合い、王の中から連邦の代表者となる者が選ばれる。

それぞれの土地で特性が違うから、足りない部分を補いあう意図もこめ、 こういう制度になってるみたいだ。
周囲が変化の激しい海なために、連邦外の国と陸続きなロウタリア以外は 交易の方法も限られてくるからな。
互いの発展のために助け合っているわけだ。

ヒナが住んでいるのはタスワの田舎町トタン。
リューネはロウタリアのカライドという町に住んでいるようだ。

…そういえば、クロイスにはヴァルクという不思議な森の伝説がある。
捕食する森、迷いの森だなどと物騒な呼び方をされているが…所在は不明だ。
噂では、何の変哲も無い森と空間が繋がることがある、とのこと。
そこに迷い込むことが幸か不幸かは…
立ち入った者のみぞ知るところだろう。




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サイラス・クロスの時代はクォーツ期と呼ばれている。

諸国には特に大きな戦争も起こっていない安定した時期といえるだろう。
世界のマナの含有量はそこそこで、妖魔やエルフも存在している。
ただし珍しい存在だから、会えたならば幸運かもしれない。
…敵でなければの話だが。

魔法使いも希少で、滅多なことではお目にかかれないだろう。

この時代は人間の科学にマナを反応させた技術『マギ』が発達しはじめた。
田舎では滅多に見ないが、マギを使った電話やラジオ、車が走る地域もある。
とはいえ、乗り物と言えばまだまだ馬や牛が主流だ。

ロウタリア領王はマギの技術におおいに関心があり、その普及に力を注いでいる。
現クロイス代表も彼が勤めているから、外の三国にもその影響はあることだろう。
旅をするうちに最新の技術や流行りものを見る機会もあるかもしれない。


これはマギの一例だが、通信機だ。
『ラ・リスペル』(風のささやき)という名で、俗にはリスペと呼ばれている。
風属性のマナを反応させる魔晶石が内蔵されていて、
対応させた別の通信機との会話ができる。無線のようなものだ。
まだ今の技術では一対同士でしか通話できず、距離によっては時間差も出る。
マナが遮断された場所や、薄い場所では通話はできない。

マギはマナに頼った技術だ。それ故に有線のような仕組みは、
他の属性の魔晶石や道具を組み合わせる必要があり、開発しにくい傾向がある。




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先ほどからちらほらと出てきている言葉、マナについて説明しよう。
この世界では文化や生命、気候にまで関わる重要な存在だ。

マナは大気や土、水、火、生命体…あらゆるものに含まれている粒子のようなもの。
魔法や霊能、超能力の源で、これが尽きるとそれらの類が使えなくなる。

物体や生物には生まれつきマナの許容値があり、 それは一生変化しない『マナの才』とされる。
しかし高濃度のマナにさらされた自然界のものが妖魔に変化したり、
才を超えたマナが注がれた生物が魔獣になってしまうなどの事例もある。

地理に関わらずマナが気候などに影響を及ぼすこともある。
赤道付近にも関わらず、その影響で氷の張る地域もあるようだ。

また、マナには属性があり、同じ属性のマナが集まるところには
それに対応した『精霊』と呼ばれる元素の化身が現れることがある。

マナの濃度や魔法によって、精霊が実体化する場合もある。
それらは晶精霊と呼ばれ、姿は生物のようだったり結晶のようだったりとまちまちだ。

代表的な晶精霊は、7大精霊と呼ばれる。
それらは神格化されていて、縁起も付加され信仰の対象にもなっている。
地域などによって名前などは違うこともあるが、だいたいは次のようなものだ。


ヴァイアメル …炎 戦闘・勝利 ハイドランス …水 知性・采配
ガイアティ …地 平和・農耕 フォルチカ …雷 本能・活性
ラー・クウィン …風 幸運・繁栄 プリズスティ …光 正義・道徳
ダ・ジャスファ …闇 虚偽・魅力


魔法は属性の大精霊に力を借りる契約の呪文を唱え、 マナの結晶とされる魔晶石を媒介に使うのが基本。
その効力は魔晶石の品質や、魔法使用者の資質、マナの含有量に作用される。

呪文無しで魔法が使えるものは、よほど良い魔晶石を持っているか、
生まれながらに自身がマナに恵まれているのだろう。



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サイラスには地球と同じ生物もいれば、いない生物もいる。
人間のような姿だが、そうではない種族もおおい
それらを含め紹介していこう。



■ 人間(ヒューマン)

地球の人間とほぼ同じだが、肌や髪、目などの色が地球人と異なる者もいる。
言語はほぼ統一されているが、場所により文字の読み方などが異なり通じにくい場合も。
その地や先祖に伝わる古代語を名前などに使う者もいる。

技能的にはほとんど何でもこなせ、器用だがドワーフほどでもなく
魔法が使えるものもいるが、エルフほど長けたものはそうそういない。

しかし闘争や開発や研究で発展をなし、サイラス中でも一番数の多い人種。



■ 獣人(アニマリアン)

人間に、動物のような耳や尻尾などがついた外見。
猫型や犬型など様々な種類がいて、「犬型なら鼻がよくきく」など、
型によりその生物の特性を受け継いでいるが、知能は人間と同じ程度とされる。

しかしその能力や知能があれども、独自の文化がないことやその外見から
動物と同じとみなされ、人間から迫害を受けた時代もある。
サイラス・クロスの時代でも、その風潮が残っている地域がある。



■ 人獣(ビースター)

人間と変わらない姿の者もいれば、二足歩行の獣といった容姿の者もいる。
本人の意思か、特定の条件を満たすかで獣の姿に変身することができる。
しかし獣に変身したとき、彼らの多くは理性を保てず狂暴化する場合が多い。
正体を隠し、人里に住んでいる場合もあるというが…

サイラス・クロスの時代では伝説のイキモノ、と言われているな。
アニマリアンは人とみなされるが、ビースターは怪物とされている。
しかし混同され、アニマリアンへの迫害が増した時期もあったようだ。



■ 妖精

マナを大量に宿し、マナと共に生きるとされる存在。

背中に虫のような羽を持ち、子供のような姿をしているというが、
決して人ではない存在で、本来は相いれるものではないようだ。
人間や魔獣などのいない場所にひっそり住んでいるとされる。
伝説や物語レベルの存在。

エルフやドワーフは準妖精と呼ばれ、かつては妖精の一種だったとされている。



■ エルフ

人間に似ているが基本的に細身で、耳が尖っている。
自然を愛することを美徳とし、そのマナをとりこみ長寿と魔力を持つ。
主に森を住処とし、侵略者や伐採者から森を守り共生している。

独自の文化や言葉を持ち、古くから伝わるそれらや伝統を大切に守っている。
長命なために人間の言葉を使える者が多い。
新しい技術の発展は自然の調和を乱すとして、あまりよく思っておらず、
同じ準精霊であるドワーフを快く思っていないようだ。

人間の国には滅多に現れないため、物語の中でしかその姿を知らない者が ほとんど。



■ ドワーフ

人間より魔法が不得手だが、マナの属性や場所を嗅ぎ分けるなどの能力がある。
大人になっても背が子供の用に低く、老人にはぽっちゃりした体系の者が多い。
知能は人間に劣るとされているが、力仕事にも向く他、真面目な職人気質であり、
繊細な細工加工などに長けた優秀な技能者とされている。

ドワーフの町からはなれ、人間に混ざって生活する者も多くいるというから
すれ違っても「小柄な人がいる」と思う程度で気づかないかもしれない。



■ 妖魔

準晶精霊とも呼ばれる。…妖精ではない。
物体や水や火、土や植物などが濃度の高いマナの影響を長く受けるうちに変異し、
意思と肉体を持った妖魔となることがあるようだ。

呼吸をするようにマナを取り込むことで自らの存在を維持していて、
動物などのように物質から栄養を得ることもできるが、
生物のマナを吸い取ることもできるとされ、恐れられている。
魔法とは違う、それぞれ自分の特性を生かした『妖力』の術や技を持つ。

わかりやすく言えば、妖怪のようなものだ。
力を持つ妖魔は姿を人間や動物などによく似せるというから、
気づかないだけで人や動物に紛れてることもあるだろう。



■ 魔獣

生まれつきの許容量を超えたマナが、なんらかの原因でに入り込んだ結果、
変異した動物が魔獣になるとされている。
肉体機能が変異する、魔力を得る、長命になるなど影響はさまざま。
長生きした魔獣が妖魔になる例もある他、人語を操る魔獣もいるという。
ビースターも魔獣という説もあるが、検証がなされていないため不明。

中には友好的な者もいるだろうが、そうでない場合は厄介な存在といえる。



■ 晶精霊

マナの項でも紹介したが、実体を持った精霊だ。
コミュニケーションをとることも可能で、古に交わされた契約の様式により
呪文での魔法や召喚術が成立しているとされている。
獣や人など、さまざまな姿で現れる。




サイラスには他にも色々と種族があるが、ひとまずこれだけ語れば事足りるだろう。

何? …例の双子の種族?

…いいだろう、ここまで読んだご褒美だ。少しだけ、な。
アニマリアンにも翼を持つ鳥型はいるが、それとは関係ない。


■ 麟翼族(スクマァラ)
燈のような翼の種族だ。
翼は蝙蝠に似た形状だが骨ははるかに硬く、鉤爪は無い(足じゃないしな)
表側や骨の周辺は細かくも頑丈な鱗につつまれ、その強度は岩をも砕く。
翼の鱗が周囲のマナを一気に集め、弾丸を撃つように弾き出す魔法を使える。
飛ぶときは力強く羽ばたき、風を起こすが滑空は空気を裂くほど鋭い。


■ 羽翼種(ペンナァラ)
光のような翼の種族だ。
羽毛に包まれた翼は、見た目も造りも鳥類とほぼ変わらない。
ただ羽毛はすぐに生え変わり、羽を散らして受けたダメージを拡散することが可能。
羽毛の隙間にマナを溜めることができ、量によっては強力な魔法を放出できるだろう。
飛行時はためたマナを利用することがおおく、羽ばたかず静かに浮かぶこともできる。


他にも種族的な特徴はあるが、それは本編で追々語られるだろう。





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今はこんなところだな。
もしもわからないことや知りたいことがあれば、作者に伝えてくれれば
話せる限りのことは、私が改めて説明しよう。

それでは、またいつか逢うことがあれば……
 



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鑑髪 鏡夜 (カガミ キョウヤ)

『時渡り』を名乗る、性別不明の謎の男(?)
頬に星の形のほくろが4つある。

重罪人という噂もあるが、何の罪に問われているのかも定かではない。

若い人間のようだが、その年齢すらも定かではない。



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