君のために僕になにか
できないかと思って

色々かんがえたすえ
クッキーを焼くことにしたんだ

本をみながら慣れない手つきでつくった
いびつだけれどがんばったよ

でも いざ持っていったら
渡すどころか会うことさえ戸惑うんだ

手に持った小さな箱がふるえて
中の僕を託したかけらが音をならす

早く行けって彼らは言う
せっかくつくったんだ
伝えなきゃ伝わらない

脅されるように踏み出した一歩
まってましたと臆病風

無い風に箱がふきとばされた

粉々になったクッキー
渡したかった想いもいっしょに微塵になった

悲しいけど
ほっ とした
ことが悲しい

空っぽになった箱
僕とおそろい


なにも知らない君が目の前を通った

落ちてる箱をひろって
僕にわたしてくれた

空の箱なのに暖かさがのこってた
そんなはずないのに





クッキーの箱






2008/05/17