ラブレスの恋人





世界という光に照らされて目に見えるのは影しかない。
あなたも影としてうつる。
わたしはあなたの影しか知らない。
光のあたる正面からあなたに向かいあう勇気はない。
反射する光に目が焼かれるのではないかと怯える。
それでもあなたがそれを厭わず
私を正面から見にくることを望んでいる。
しかし私は光に背を向けるだろう。
正面からあなたを見る勇気がない。
あなたに光も影も見せる勇気がない。
 
わたしの世界にラプラスの悪魔なんかない。
 
 
***
 
 
言葉の切れ端のキルトを作るのは下手だ。
偽物に包まれたにおいがする。
本音の死体をコンクリートの壁に埋めて血はペンキで隠す。
見た目はきれいだがいつかボロが出るだろう。
部屋を片付ける犯人は恐怖と期待でいっぱいだ。
見つかったらどうしよう。
見つかったら解放される。










2010/01/30