血の丸





づるづる と
引き摺るようなあと、
すっと抜ける感覚とともに 相手の体は崩れ落ち、
かかっていた重さが消えて、私はよろめいた。
 
足で死体を蹴飛ばし、ごろりと横に向ける。
みるみる地面に赤い水たまりが広がる。
 
顔をあげると、雲一つ見えぬ青空が私を取り囲んでいた。
 
混じり気のない地面の赤と空の青は、まったく対象でどちらも陰りが無く
その対比の美しいこと。
 
どんな荒れた水面も鏡として、
身を映したがるのではと思うほどの気高い空であったが
 
赤い色はしんと燃えたまま何物をもうつさない。
 
 
私はその場から去ることにした。
 
 
こんなにいい青空だ。
太陽がふたつでも足りやしない。
 
 
地に血で描かれた日の丸を背に私は歩く。
 
 
 
本当にいい日和だ。










2009/4/23

赤い血だまりに青い空。